2011年3月 その他の読んだ本

レビュー(?)を書けなかった、今月読んだ本。


『私たちが星座を盗んだ理由』 北山猛邦

私たちが星座を盗んだ理由 (講談社ノベルス)

私たちが星座を盗んだ理由 (講談社ノベルス)

5つのミステリを収めた短編集。どれも思わずゾッとするラストを迎え、くらくらするような読後感を味わいました。世にも奇妙な物語、みたいな。面白かったです。
以下は裏表紙の引用。


恋のおまじないに囚われた女子高生の物語『恋煩い』
絶海の孤島にある子供たちの楽園の物語『妖精の学校』
孤独な詐欺師と女性をつなぐケータイの物語『嘘つき紳士』
怪物に石にされた幼なじみを愛し続ける少年の物語『終の童話』
七夕の夜空から星座を一つ消した男の子女の子の物語『私たちが星座を盗んだ理由』


この中で最も残酷に思えたのは『恋煩い』。なにが怖いって、リアリティがあるところです。度合は違えど、女性なら誰もが抱くであろう、嫉妬心や弱い心……これらが引き起こす一連の事件は、もしかしたら自分のすぐそばで起きているかもしれない。そんな現実味が恐ろしい。
メインになった3人の幼なじみの関係性がすごく上手く描かれていると思いました。特に、アキのシュンに対する複雑な感情は読み応えがあります。単に女の子の恐ろしさを感じるだけでなく、中心に立つ男の子の存在を強く印象付けられたので、ただ怖いだけだったり、後味の悪さを感じたりするのではなく、残酷さに浸ってしまったのでしょう!


ラストのインパクトが最も強かったのは『妖精の学校』。真相を知ってから読み返すとまた感じるものが変わってきます。社会問題を描いていたわけですが、子供の目線で語られる物語はまるでファンタジックな絵本。その雰囲気を通じることで、むしろ恐ろしさが増しています。今の自分では知識が足りない部分があるので、もっと勉強してからまた読みたい。真実を知れば知るほどショックが増していきそうですが、同時に、細部まで作りこまれた設定に感動しそうです。


『嘘つき紳士』は悲しい話でした。話の展開はだいたい予想できましたが、最後の一行に虚しさが募って、予想以上にもやもやした気持ちに。クリスマスで賑わう町がより虚しさを引き立たせます。


これまでの短編は「このあとどうなってしまうんだろう」と考えてしまう終わり方のですが、『終の童話』はこれ以上の未来を想像することもできないほど、苦しくて切なくて美しい結末。ウィミィの出した結論がどちらであれ、彼がこの先、まともに生きていけるとは思えません。他の短編では、更に暗いところへ落ちていってしまうにしても“未来”が想像できてしまうのに対して、この物語だけは終わりしか見えない!もっと言ってしまえば、ラストシーンで時間が止まってしまったような感覚。『終の童話』というタイトルがまた、いいですね。


表題作『私たちが星座を盗んだ理由』は、星座を盗むというどことなくロマンチックでファンタジックな題材の中、すでに大人になった一人の女の子の感情を描いた物語でした。3人の少年少女が登場する点では『恋煩い』に似ていますが、こちらの方が彼らのすれ違い方が切ない。たぶん、誰も悪くないというところが怖さではなく切なさになったんでしょう。
夏を終えようと踏み出す決心をした姫子。5つの短編の中で、彼女が一番、少しでも明るい未来に進んでほしいと思えた主人公でした。わたしの好き嫌い云々ではなく、物語の展開として。


中には結末を想像できるものもあったけれど、それでもラストまで読み切って満足できたのは、描き方がわたし好みだったからでしょうか。


片山若子さんのカバーイラストもとってもすてきな一冊です♪

読んだ日:2011/3/13


『大江戸あやかし犯科帳 雷獣びりびり』 高橋由太

大江戸あやかし犯科帳 雷獣びりびり (徳間文庫)

大江戸あやかし犯科帳 雷獣びりびり (徳間文庫)

んんん、やっぱりあまりお上手な文章とはいえないんですけれど、読みながら作家さんからキャラクターへの愛情を感じました。
クロスケやカタナ、河童に天狗……妖怪達は個性的で可愛らしい。
ただ、主人公と八歳の童女を許婚設定にしなくてもよかった気はします。あってもなくてもどちらでもいいように思るというか。許婚であることによって魅力に感じるものがあればいいんですが……。『オサキ〜』シリーズもそうですが、主人公には恋の相手を作りたい作家さんなのかな。
ほとんどのキャラクターを、『オサキ』だったら誰々!と当てはめてしまえるので、もうちょっと別の人間関係も見てみたいかも。

読んだ日:2011/3/16


チョコレート・アンダーグラウンド』 アレックスシアラー/金原瑞人

チョコレート・アンダーグラウンド

チョコレート・アンダーグラウンド

海外の児童文学を読むのはすごく久しぶり。
分厚いな、と思ったけれど、文字は大きいしすらすら読み進められました。
ハントリーやスマッジャーを襲う困難が意外とあっさり解決してしまったので、緊張感は思ったより少なかったのですが、闘う少年達の姿は感動的で、ラストの爽快感はたまらない。
彼らの後日談の書き方も好きでした♪
自由を求めて奮闘する少年達の物語、何より魅力だったのは、“チョコレート”という題材ではないでしょうか。

読んだ日:2011/3/17


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2011年2月 その他の読んだ本

レビュー(?)を書けなかった、今月読んだ本。


クドリャフカの順番米澤穂信

クドリャフカの順番 (角川文庫)

クドリャフカの順番 (角川文庫)

古典部シリーズ第三弾!ようやく文化祭が始まるわけですが、いやもう、めちゃくちゃ面白かったです。古典部は文集「氷菓」の発注ミスをどう解決するのか。そして「十文字」事件の真相は?ふたつの謎解き(「氷菓」に関しては、謎解きではないかもしれませんが、こう呼びます)に読み応えがあって面白いのはもちろん、今回は“文化祭”という熱っぽい空気が伝わってきて、読んでいてしあわせでした。今までの2作品を踏まえ、このタイミングで、奉太郎だけでなく古典部4人の視点から物語を楽しめたのもよかったです。「十文字」事件が本格的に物語に絡み始める以前も“文化祭”の雰囲気にひたすらわくわくできるし、古典部4人の心情も丁寧に読めて嬉しいし、サブキャラの再登場にも心躍るし……。ひとつの青春小説として、とても濃密。「十文字」事件に関しても、ちょっと切なさを感じる高校生の人間ドラマに繋がって、わたしはとても満足。ですが、謎解きの度合いは薄いかも?全体の印象として、ミステリ<青春、の配分に感じました。

読んだ日:2011/2/1


『おしゃべりな五線』 香谷美季

おしゃべりな五線譜 (teens’ best selections) (teens’best selections)

おしゃべりな五線譜 (teens’ best selections) (teens’best selections)

片山若子さんのカバーイラストに惹かれて。

読んだ日:2011/2/1


遠まわりする雛米澤穂信

遠まわりする雛 (角川文庫)

遠まわりする雛 (角川文庫)

古典部シリーズ第四弾は、奉太郎たちの高校一年生の一年間を振り返る短編集。読み終えて、いや、読みながらすでに、叫び声をあげたいほどによかったです。叫ぶ言葉は、「古典部最高!!」とでもしておきます。
謎解きとして特に面白かったのは、『心あたりのある者は』かな。校内放送をもとに、奉太郎と千反田が会話をするだけで謎が解かれていくさまが実に鮮やか。
そして、1年間を通して描かれた4人それぞれの気持ちに、ドキドキです!
里志と摩耶花の気持ちも、その曖昧な関係に至る理由も、ようやくはっきり描かれる『手作りチョコレート事件』。
『正体見たり』では古典部が夏合宿を行い、『あきましておめでとう』では奉太郎と千反田が正月早々二人きりで閉じ込められるはめになる。全体的にイベントムードが高いです。
そして、表題作『遠まわりする雛』のラスト、期待以上の展開にキュンキュン!!
まるで少女漫画を読んでいるような喜びに浸れる一冊でした。

読んだ日:2011/2/1


『さよならのプレゼント』 佐野久子

さよならのプレゼント (ホップステップキッズ!)

さよならのプレゼント (ホップステップキッズ!)

片山若子さんのカバーイラストに惹かれて。

読んだ日:2011/2/3


『ごたごた気流』 星新一

ごたごた気流 (角川文庫)

ごたごた気流 (角川文庫)

どのはなしも面白かった!好きな短編ばかりでした。スパイスの効き方が強めのものが多かった気がします。

読んだ日:2011/2/5


『密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿』

音野の生い立ちが垣間見えたり、新しい名探偵(?)が登場したり、シリーズものとしての面白さが増していきます!音野と白瀬、それに岩飛警部らの掛け合いも、相変わらず可愛らしいです。
今回は特に『停電から夜明けまで』が面白かった。恐るべし、安楽椅子探偵(今回は現場に居合わせてますが……)音野要。きょどきょどする音野順がいつにも増して笑えました。ほんとにキュート!
『音楽は凶器じゃない』で音野がピアノを弾くシーンにはなんだかうっとり。彼がどういう人生を歩んできたのか、気になります。
現実可能なのか疑問であるトリックも含めて一遍一遍楽しめるミステリですが、“音野の生い立ちの謎”は、シリーズものの面白みとしてこれからもストーリーを支えてくれるんじゃないかな?期待しています。
あ、“名探偵界隈”も気になる……!琴宮以外の名探偵も、今後、登場する可能性はあるのでしょうか?

読んだ日:2011/2/6


『セイギのチカラ』 上村佑

セイギのチカラ (宝島社文庫)

セイギのチカラ (宝島社文庫)

思っていたよりグロテスクな描写があってビクビクしながら読みました。視点がころころ変わる話はあまり好みではないので、すこし読み辛かったです。でも、これは、映像化したら絶対面白い!!特に映画に向いてると思います!!勝手に配役を考えてわくわく。

読んだ日:2011/2/7


『少年検閲官』

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

舞台は日本なのに、浮かんでくる世界は見知らぬ海外のよう。ファンタジーとミステリの要素がどちらも成り立って、ふしぎな世界観を味わえました。
タイトルになっている“少年検閲官”が登場するまでが長いので、彼の活躍を待ちながら読むとじれったいかも。でも、“少年検閲官”のことはいったん気にならなくなるほどに、主人公のクリスが関わっていく首切り事件に集中力を持っていかれます。北山猛邦作品は『名探偵音野順の事件簿』シリーズしか読んでいないので、同じミステリでもこちらの緊迫した空気にドキドキでした。
登場人物がどこか可愛らしいところは、『名探偵音野順〜』とも共通している魅力のひとつ。たとえば、無駄な感情がないとされる“少年検閲官”ですが、トランクの中身をひっくり返してしまうところなど、エノからはとぼけた印象も受けます。
14歳の少年ふたり、彼らのこれからの生き方が気になります。
この作品にも続編があるのでしょうか?2010年に続編発売、という話があるようですが、2011年になった現在も発売されていないみたい。発売されたら、すぐに読みたいです。

読んだ日:2011/2/7


妖怪アパートの幽雅な日常1』 香月日輪

妖怪アパートの幽雅な日常 1 (講談社文庫)

妖怪アパートの幽雅な日常 1 (講談社文庫)

だいぶ前から気になっていたシリーズ。大人にも人気のある児童書ということですが、夢中にもなれなかったし、かといってつまらなくもない、そこそこ面白いかな、くらいの印象でした。ですが一応、2作目も購入。

読んだ日:2011/2/10


竹取物語星新一

竹取物語 (角川文庫)

竹取物語 (角川文庫)

竹取物語のストーリーはだいたい知っていましたが、改めて星新一版で読んでみて、とても面白かったです。

読んだ日:2011/2/11


『きみのためにできること』 村山由佳

きみのためにできること(集英社文庫)

きみのためにできること(集英社文庫)

10年以上前のパソコンメールのシステムはすでに古いものになってしまっているけれど、恋心は時代では変わらない!とでも言いますか、現代が舞台の恋愛小説として、2011年の今読んでもすごくすてきに感じられました。
映像化したらいいだろうなあ、と思ったら、すでに映画になっているみたい。なんと主演は柏原くん!高瀬、そんなにかっこいい人だとは思っていなかった!笑
村山由佳を読んだのは初めてでした。

読んだ日:2011/2/13


プリンセス・トヨトミ万城目学

プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ

映画公開前に読むことができてよかった!
やっぱりマキメ作品は面白いです。前半は設定を理解するためにじっくり読み込んだので時間がかかったけれど、大阪全停止のその日のエピソードは、勢いよく読み進められました。
はちゃめちゃなことをやって、最終的に見えたのは親子の愛!そして“女”の存在にも、ありのままの人間の歴史を見たような感じ。
読み応えありました。
鹿男との繋がりにニヤニヤ。地震の頻度の話題が出てだけで「おっ!」と思ったけれど、南場先生の登場、嬉しかった〜!

読んだ日:2011/2/26


『対話篇』 金城一紀

対話篇 (新潮文庫)

対話篇 (新潮文庫)

金城一紀の小説を読むのは三度目。今回も、読み始めたときから切なくて切なくて、読み終えるときには、痛みを優しい空気が包んでいる……ような感じ。
『映画篇』でも思ったけれど、この人の書く連作の繋がり方は好きです。“書きすぎない”ところがいい。

読んだ日:2011/2/26


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『百瀬、こっちを向いて。』 中田永一

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)


真っ白に、光る青。
シンプルだからこそ目に付く表紙と、タイトルに惹かれて手に取りました。
帯や書店ポップに後押しされて、購入。


『百瀬、こっちを向いて。』『なみうちぎわ』『キャベツ畑に彼の声』『小梅が通る』、4つの恋愛小説を収めた短編集です。
恋愛小説といっても、ドロドロしたものは感じません。かといって、単純に爽やかすぎる物語でもない。
どれも温かくて切ないラブストーリーですが、サラリとした印象があります。
それは、登場人物たちの恋愛に関する具体的な行為よりも、瑞々しい感情に重点を置いて描かれていたからでしょうか。


どのおはなしでも、なかなか現実では起こらないような特殊な人間関係が作られていますが、その中心にいる主人公たちは、あくまでも己を“目立たないもの”として扱っています。


自称“人間レベル2”のノボル。
小学校からの無遅刻無欠席だけが唯一の自慢の姫子。
人気者の先生になかなか話し掛けることのできない久里子。
美少女であることをわざと隠して過ごす柚木。


彼、彼女らの織り成すラブストーリーは、ひっそりと優しく、それでいてはっきりと強く紡がれていきます。


表題作『百瀬、こっちを向いて。』は、自己を薄暗い電球のような存在と認識している高校生・ノボルが、とある理由あって、百瀬という美少女と恋人同士になる……というおはなし。
恋する辛さを知ってしまったノボルの行動とは?
揺れ動くノボルの感情がとても“きれい”。苦しみやもどかしさも、あわせてきれい。
そして、サブキャラたちもとても印象的。ノボルの感情を追いかけながら、百瀬、宮崎先輩、神林先輩、それに田辺といった存在を、生き生きと感じることができます。
彼らを繋いだひとときの奇妙な関係は痛々しくて切なく、数年後に明かされる秘密は苦々しくて恐ろしい。そんな恋愛の辛い部分を青春というやさしい形に囲ったあとで、甘やかでぬくもりあるラストに結びつく。
そんなふうに、このひとつのおはなしの中に、恋することで生まれるたくさんの感情が詰め込まれています。


甘さも苦さも柔らかく包んだ物語。そんなところは、4つのおはなしに共通しています。
正真正銘の恋愛小説ですが、おはなしによってはちょっとした仕掛けが施されており、謎が解かれてはじめてわかる真実にはっと驚かされる一幕も。
ポップに“恋愛小説に免疫がない人にもおすすめ”と書かれていましたが、この仕掛けの面白さがその根拠になっていると思います。


それと、タイトルが巧い!
読み終えたあとに、もう一度タイトルに戻ってみると、思わずジーンときてしまいます。
特に、『百瀬、こっちを向いて。』は、イイです……!
もともと惹かれるタイトルでしたが、読み終えたいま、さらにその魅力が増したように思います。


どれも、特別に大きな展開を見せることはありません。主人公の存在が突然華々しく輝くわけでもなく、ドラマチックなハッピーエンドが待っているわけでもないのです。
それでも、読後に残るのは、いとおしい余韻。
恋に落ちるとはこういうこと。そんなことを、ひしひしと感じる一冊です。


読んだ日:2011/2/14


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2011年1月 その他の読んだ本

レビュー(?)を書けなかった、今月読んだ本。


『きまぐれロボット』 星新一

きまぐれロボット (角川文庫)

きまぐれロボット (角川文庫)

イラストレーターの片山若子さんにハマっております。その影響で、角川文庫の星新一作品を集めています。2010年末に『声の網』を読んだのが最初で、これで2作目。きっかけはイラストでしたが、すっかり星ワールドにはまり込んでいます。
お気に入りは『夜の事件』『とりひき』など。あれ、ロボットオチが好きなのかな?

読んだ日:2011/1/7


『ちぐはぐな部品』 星新一

ちぐはぐな部品 (角川文庫)

ちぐはぐな部品 (角川文庫)

紹介にあるように、ほんとうにバラエティ豊か!強く印象に残っているのは、『凍った時間』『壁の穴』など。
『名裁判』で大岡越前のイメージが思わず板谷由夏さんになってしまったのは、映画『男女逆転大奥』の影響……(笑)

読んだ日:2011/1/12


『地球から来た男』 星新一

地球から来た男 (角川文庫)

地球から来た男 (角川文庫)

すごく好きな1冊でした!『夜の迷路』を映像で見てみたいな〜、そしたらこんなかな……など、脳内で勝手に映像化。
他に気に入ったのは『包み』『疑問』など。

読んだ日:2011/1/14


『ザ・万歩計』 万城目学

ザ・万歩計 (文春文庫)

ザ・万歩計 (文春文庫)

笑った、笑った、笑った。いろんな意味で笑った!面白いから笑ったし、ちょっとほっこりして思わず笑みがこぼれたりも。やっぱり好きだ、万城目学

読んだ日:2011/1/17


『おかしな先祖』 星新一

おかしな先祖 (角川文庫)

おかしな先祖 (角川文庫)

悔しいのは、落語に詳しくないことです。しかし、一貫してオチの空気に似たようなものは感じました。落語ってこんな感じなのかな?
しかし、全体として、他の作品集よりははまらなかったかも。
『ふーん現象』がお気に入り。

読んだ日:2011/1/22


もののけ本所深川事件帖 オサキ鰻大食い合戦へ』 高橋由太

もののけ本所深川事件帖 オサキ鰻大食い合戦へ (宝島社文庫)

もののけ本所深川事件帖 オサキ鰻大食い合戦へ (宝島社文庫)

1作目より読みやすく、面白かったです。鰻茶漬けの発祥に繋がったところも好き。
まだまだ粗いけど、また続編が出たらきっと買ってしまいます。
ただ、今回気付いてしまったのは、お琴にあんまり魅力がない……ということ。気が強いわりにはすぐに泣き出す、これじゃただのワガママに見えてしまう!大事なヒロインなのでもう少し可愛らしく思えないものか、残念です。だからこそ、続編を希望。次はお琴の魅力を見つけたい!

読んだ日:2011/1/24


『城のなかの人』 星新一

城のなかの人 (角川文庫)

城のなかの人 (角川文庫)

星新一による歴史小説、短編5編。史実に沿ったものも、フィクションのものも、すべてに引き込まれましたが、『正雪と弟子』が特に印象的でした。ほんとにこんな真実があったとしたら……。ん〜、面白い。

読んだ日:2011/1/26


氷菓米澤穂信

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

古典部シリーズ第一弾!デビュー作ということであまり期待していなかったのですが(小市民シリーズを読んだときに、『春期限定いちごタルト事件』より『夏期限定トロピカルパフェ事件』のほうが格段に読みやすくなっている!と思ったので、デビュー作は『春期〜』よりも読みにくいかも?などと……)良い意味で裏切られました。面白かった!!
登場人物のやり取りは可愛らしい。これを読んだ時点では4人にそこまで愛情が湧きませんでしたが(この文章を書いている現在は第三弾まで読んでいるので状況が違います)テンポ良い掛け合いは素直に楽しめました。“氷菓”の真相には思わずゾッとし、ほろ苦い読後感に大満足!

読んだ日:2011/1/26


『宇宙の声』 星新一

宇宙の声 (角川文庫)

宇宙の声 (角川文庫)

『宇宙の声』『まぼろしの星』の二作品。少年少女が宇宙を舞台に活躍するおはなしで、今までに読んだ星新一作品と比べると、可愛らしさのようなものも感じます。
どちらかと言うと『まぼろしの星』のほうがお気に入り。ラストにすべてが明かされる展開と、これからの地球の未来への希望や不安が、よかったです。

読んだ日:2011/1/27


愚者のエンドロール米澤穂信

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

古典部シリーズ第二弾。どうしても小市民シリーズと比較してしまうのですが、小市民は一作目が高校入学で始まり三作目ですでに高3秋、と時間の流れが早いのに対して、古典部シリーズはゆっくり進みますね。それだけシリーズが長く続く可能性があるのかな?わくわく。
氷菓』のほうが勢いや驚きが詰まっていたかな〜、と思いましたが、こちらも面白かったです。古典部4人にどんどん惹きつけられるし、増えていくサブキャラもインパクト大。そんな彼らは、高校生のリアリティを追求したキャラクターではないと思いますが(簡単に言えば、みんな大人びているというか、考え方や知識の量、会話の内容など、並みじゃない)、それでも、このシリーズから滲み出るのは“神山高校”という学校のニオイ。部活モノだからかな?その、“学校”の雰囲気がとても好き!

読んだ日:2011/1/29


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『踊るジョーカー 名探偵音野順の事件簿』 北山猛邦

踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿

踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿


世界一気弱な名探偵・音野順。お弁当を持参して、今日もイヤイヤ、事件現場へ……。


読みながらこんなに笑ったミステリは初めてでした。
ギャグ漫画でも読んでいるかのように、大笑い!
それでいて謎解きもきちんと面白いし、人間ドラマも楽しめる。
帯にある通り、“キュートでコミカル、しかし心は本格ミステリ。”な1冊です。


5つの短編が収録されており、そのうち4つは冒頭で事件の概要が描かれ、次に舞台が音野探偵事務所に移り、音野の元に冒頭の事件解決の依頼が入る……という構成になっています。
一つ一つの短編がサラリと読みやすい!トリックは意外性もあって作り込まれているのに、お話は気軽に読めるのです。


とにかくキャラクターが可愛すぎる!
類まれなる推理力を持ちつつ、引きこもりがちで人見知り、探偵活動に消極的な名探偵・音野順。
音野を探偵として社会に引っ張り出してきた、売れない推理作家の白瀬。彼の視点で物語は進みます。
熊のような外見で、豪快な性格、音野と白瀬をいけすかないと思いつつ、根はいい奴の岩飛警部。
などなど……。
一人一人が可愛らしいのはもちろん、彼らの掛け合いがたまらなく面白くてキュートです!


音野はびっくりするほど気弱な青年ですが、その根っこにあるのは“すぎる”ほどの優しさ。ときに殺人犯の今後を心配して、事件の真相を口に出すのを嫌がるほどに彼は優しい。それが自虐に繋がり彼から自信を奪ってしまうのですが、単にネガティブなわけではない、この優しさによる音野の弱々しさは非常に魅力的に映ります。


しかし彼一人では探偵活動は始まらない。音野の才能が世に必要とされること、それによりすべてに対して気弱な音野が自信を付けてくれることを願って、探偵事務所を開いたのは助手の白瀬。白瀬=私、の一人称で物語は展開されますが、“私”という一人称や、すこし堅苦しい話し方などから、生真面目な人物かと思いきや、彼は楽観的なところがある。ここが音野と対照的なので、2人は成り立っているのでしょうが……白瀬のいわば心の声がなかなか面白い。推理作家だからか、少々堅い口調で繰り広げられるために、彼の気持ちが滑稽に見えるところも多く、笑えます。


白瀬の的外れな買い物や、岩飛に怯える音野、お菓子が好きな2人の姿など、思わず突っ込みたくなる可愛らしい笑いがたくさん。


5つの事件は、どれも容疑者は少なく、犯人に意外性がある印象ではなかったです。しかし、綺麗な筋の通ったトリックは鮮やか。それを音野がボソボソと解決していく(お兄さんが登場した場面もありましたが!)さまは、探偵モノにおける事件解決にしては勢いが足りなすぎるけれど、故にそんな彼がこんなに素晴らしい推理力を持っていることが際立つ。おろおろしながら謎を解いていく名探偵の姿はなかなか新鮮で、トリックの面白さとともにすっかり引き付けられてしまいます。


音野は優しすぎるが故に、探偵活動に疑問を抱いている様子もありますが(完全に否定はしていません)そこがこの作品の深い部分。
5編目のラストの2人の会話にあるように、名探偵は『正しい』のか?
音野と白瀬がこの答えを模索しながら、音野探偵事務所を続けていく様子、これからも追いかけたいです。


2作目も注文済み。楽しみ!


読んだ日:2011/1/30


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『退出ゲーム』 初野晴

退出ゲーム (角川文庫)

退出ゲーム (角川文庫)


ハルチカ”シリーズ、文庫版第一弾!


清水南高校一年生、廃部寸前の吹奏楽部のフルート奏者・穂村千夏と、その幼馴染み(と言っても高校で九年ぶりの再会)でホルン奏者の上条春太の二人を中心に繰り広げられる、爽やかで鮮やかな青春ミステリです。


ハルチカ”シリーズ。
わたしがこの存在を知ったのは、本屋の文庫新刊コーナーにこの作品が並んでいたとある夏の日(たぶん。)
カバーに描かれた魅惑的な少年の姿に心惹かれ、思わず手に取り目にしたのが、「“ハルチカ”シリーズ」という文字でした。


シリーズもの。しかも、まだ第一弾が発売されたばかり。
と、知ると、集めるのが大変かなあ、なんて思って買うのをためらってしまったのですが、“ハルチカ”シリーズという言葉から受け取る印象はそればかりではありません。


愛称。シリーズ作品に付けられた、その呼び名の響きが、妙に魅力的。


ハルチカ”という呼び名を付けたのは誰なのでしょう?
この作品に限らず、シリーズものには響きのよい、そして愛のこもった略称が付けられているものですが、これを考えているのは誰なんですか?
ファンの中から自然に生まれたものか、作者が使っていたものか、それとも出版社が捻り出したものか。
仮に、出版社が作りだした呼び名の場合があるとしたら、これってすごい宣伝効果。すばらしい戦略。
さて、“ハルチカ”の名付け親が誰なのか、調べてもいないのでさっぱりわかりませんが……。


ハルチカ


う〜ん、やっぱり、魅力的。
ストーリー解説を読んで、すぐに主役の二人の名前から取ったネーミングだとわかりますが、すると“ハルチカ”コンビは如何様な物語を繰り広げてくれるのか気になって、気になるうちに期待が膨らみ、膨らんだ期待を胸に迷わず購入、という展開に。


そんな勢いで読み始めて、仮に膨らみすぎたわたしの期待が思い切り裏切られようとも、誰にも文句は言えないと思っておりましたが……。


期待通り。いや、期待以上。
長い前置きになりましたが、言いたいのはこれだけです。


面白い。


高校生活の中で起こるちょっとした事件や推理に値する出来事を、主役の高校生コンビを中心にして解決していく連作短編集。まさに青春ミステリの決定版でございますが、キャラクター設定も、謎解きの仕組みも、最高!です。


主人公のチカは、中学生までバレー部に所属していた熱血少女。強気で短気、ときに暴力的。それでも、恋する女の子。
そんなチカの幼馴染みで、このシリーズにおける探偵役となるのが、完璧な容姿に明晰な頭脳、それにとある秘密を持ちあわせた少年・ハルタ
廃部寸前の吹奏楽部に所属する二人は、顧問の草壁先生のもと、普門館を目指している。そのために、新たな部員を募ろうとする結果、有力な部員候補との問題に遭遇し……というのがベースです。


ホームズ役・ハルタと、ワトソン役・チカ。強気なチカに、ハルタは攻撃を喰らうばかりですが、謎解きにおける立場はこうなります。
二人が直面するさまざまな生徒との“事件”(事件ばかりではないですが、そう呼びます)の巧妙な仕掛けを、ハルタが鮮やかに解いていく様子に読み応えがあるのはもちろん、謎を解くことによって、当事者の生徒の傷や闇をも溶いていってしまう展開に、思わず涙腺がゆるんだり、苦味を覚えたり……。
ミステリとしての面白さと、学園モノとしての面白さが、実に巧みにまざりあっているのです。


さて、多くのキャラクターが登場するシリーズですが、その魅力もはんぱじゃない!
その中で、誰よりもわたしの心を掴んで離さないのは、ハルタ。正直、彼には度肝を抜かれました。
サラサラの髪に、二重まぶた、長い睫毛、きめこまやかな肌に、細身の体。女子も(チカも)羨む完璧な容姿の美少年は、異性からの人気も抜群。その上、頭脳明晰。頭の回転が速いばかりでなく、豊富な知識も持ち合わせている。人当たりもよく、にこやかだけど、ときには小難しい話をして人を誤魔化そうとも謀る一面も……。

これだけで、わたしにとっては完璧なキャラクター像です。好きなタイプです。(笑)
そして、おそらくそういう設定の人物であろうことは、読み始める前から予想できていました。
でも、彼の重大な秘密は、嬉々として文庫を本屋のレジに持っていたわたしには、想像できなかったものでした……。


「わたしはこんな三角関係をぜったいに認めない。」
この書き出しで物語はスタートします。
ハルタの秘密がはっきりと言及されるまで、わたしはそれを“嫌な予感”として感じていました。
できれば、わたしにとって完璧な理想像である彼に、そんな設定を加えないでほしい。……みたいな願望がどこかにあったのは、嘘じゃありません。
その秘密が明かされた以降も、それは実はチカの勘違いじゃないか?……とハルタを完全に否定する考えをチラつかせていたのも、嘘じゃありません。


ですが、彼のその「アブノーマル(byチカ)」な一面こそ、破格の面白さを担う大事な一端。
先に述べたように、ハルタの大まかな設定は、ページを開く前に感じ取れてしまっていたのです。しかし、この秘密には、びっくり!この一癖も二癖もあるキャラクター像が、“近頃のよくあるひねくれた草食系男子の図”を逸し、ずばーん!と飛びぬけた魅力を放っているのです。
最初は驚きと戸惑いを隠せなかったけれど、次第にそんな彼が愛しくてたまらなくなります。


最強のキャラクター・ハルタがここまで可愛らしく映るのは、チカのフィルターを通して物語を読んでいるからでしょう。この秘密に関しては、冷ややかな目……いや、世界でいちばん恐ろしい相手に対する目で、チカはハルタを見ています。実はこのシリーズの中で最も常識人だろうと思われるチカの目線で話が進むことで、ハルタを筆頭にした変人キャラクターたちが、愛らしく思えるのです。


そう、チカがうんざりするほどに、この高校には変人ばかり集っている。
吹奏楽部員だけでなく、生徒会長・日野原や、生徒会ブラックリスト十傑に含まれる、演劇部の名越、発明部の萩本兄弟。それぞれが、自由奔放に、変な人です。
他にも、美代子やマレンに朱里といった面々、みんなが個性的。わたしはとにかくハルタがお気に入りですが、誰も彼も魅力があり、愛すべきキャラクターたちです。もちろん、主人公のチカも、そのひとり。


そんなキャラクターたちが、とある高校の中で事件を起こすのだから、賑やかにならないわけがありません。
解説によると、著者にとっては、こんな学校生活はファンタジーに近いそう。文化系の部活動に所属する彼らの、どたばたした学園生活。リアルじゃないけど、どこか親近感もわいてしまうような、おかしな高校生たち。爽快な学園ドラマを存分に楽しむことができます。


そんな中で、未だちょっと不思議なにおいがするのは草壁先生。
この物語において欠かせない存在ですが、その素顔はあまりピンとこないまま。吹奏楽部のやさしい顧問の先生ですが、彼の偉大な過去から現在に至るまでに何があったのか、ほんとうにただのやさしい先生なのか……気になります。


繰り返しになりますが、「日常の謎」ミステリとして、学園コメディとして、そのどちらもの面白さを兼ね備えた一冊です。特に、謎解きのほうが苦々しい現実味を帯び、学校生活のほうがファンタジックである、というバランスが巧妙。
ハルチカ”シリーズ、すっかりはまってしまいました。


そういえば、ほかにも面白いなぁと感じた点が。
マジック同好会の小泉さんのセリフ「お前それでも女子高生か?場末のスナックのバツイチのママみたいなことをいうな!」(本文P39より)とか、成島家での西川さんのセリフ「私が、いままで悪かったんです。薄情者だったんです。私の友情は生ハムより薄かったんです」(本文P80より)とか、誰もつっこまないけどそのたとえおかしくない?というシュールなセリフがちらほら。しかも、それなりに真剣な場面で飛び出すセリフなので、ちょっと困惑しつつも笑えました。


文庫版はまだ第一弾しか発売されてないんですよね。
単行本は三作目まで刊行されているそうですが、このまま文庫で集めるつもりです。
第二弾の『初恋ソムリエ』、今から文庫化が待ち遠しくてなりません!


読んだ日:2011/01/18


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『もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ』 高橋由太

もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)


オサキモチの周吉と、周吉に憑くオサキのコンビが活躍する妖怪時代劇。江戸時代、舞台は江戸の本所深川です。


……で、オサキモチって?オサキって??

わたしは知らなかったのですが、“オサキ”というのは日本古来の妖怪で、妖狐の一種のようなものだとか。漢字では“御先狐”または“尾裂狐”と書き、外見については諸説あるそう。そして狐に憑かれた家系を狐持ちと呼び……


なんて知識はさておいて、この作品におけるオサキは白狐の姿をした魔物。周吉のふところの中で、ちょっと天然ボケの主をからかってばかりいます。
オサキに憑かれたオサキモチの周吉は、美形だけどどこかとぼけた20歳の青年。オサキモチといえど人間、しかし人間といえどオサキモチ、彼は不思議な力を……例えば闇に身を隠す力などを、持っています。


生まれた村を追われ、今は献残屋の手代として過ごす周吉。しかし、その周囲で不可解な殺人や鬼隠し(=神隠し)が起こり始め……というストーリーです。


オサキモチとオサキという設定や、周吉とオサキはもちろん、その他の登場キャラクター達も魅力的なのですが、ちょっと入り込みにくい話ではありました。


前半部分は設定の紹介が続き、話がとぎれとぎれになってしまっている印象。後半部分も回想が多かったり場面展開が早かったり、せっかく盛り上がるはずのシーンでも、物語に夢中になりきれなかったのが残念でした。改行が多く、すぐにシーンが移っていってしまうので、上手く世界に入り込めなかったのかな。


そんなふうに説明っぽい文章が続くわりにと言うべきかせいでと言うべきか、せっかくの魅力的なキャラ達の繋がりも見えにくかったのがいちばん惜しいところ。
特に、周吉とお琴、周吉と冬庵の関係は、もうすこし丁寧に見たかったな〜と思います。
まず、周吉とお琴。二人の恋模様を、もっとじっくり味わいたかった!お互いのどこに惹かれているのかとか、もうすこし丁寧に描かれていてもいいんじゃないかと。2人のシーンもたくさんあるのに、どうしてか突拍子のなさを感じてしまいます。
周吉と冬庵についても、冬庵の説明がなされた直後にあっさり死んでしまったので、周吉のショックを感じ取り辛かったです。オサキモチの理解者である冬庵が、周吉にとってどれだけ大切な存在だったのか、もっと自然に伝わってきてくれたらよかったな。


あと、これは個人的な好みの話なのだけど、

和尚(=新市)の描写など、けっこうグロテスクでびっくりしてしまいました!
ホラー系は得意じゃないのでちょっと怖かったな(笑)


それから、わたしの読解力不足のせいなのか、最初のシーンで佐助と一緒に和尚を埋めた人物が誰なのかわかりません……!


そして、“鬼”がキーワードになっていましたが、周吉の周囲で起きた事件の犯人は人間。
もちろん、読みながら、鬼が犯人だ!などとは予想しませんでしたが。
結局“鬼”という存在の印象は薄く、そのキーワードを使いこなしていたとは思えませんでした。


と、ちょっぴりけなしてしまっていますが、


シリーズ2作目も発売しているとのことで、そちらへの期待を充分に抱くことができる作品です。
『オサキ江戸へ』で舞台設定はすべてととのった、という感じ。
2作目以降は、個性的なキャラクター達を上手く掘り下げて、もっと読み応えのある作品になっているんじゃないかな、と期待できるところまでは、1作目も面白かったということです。


周吉とオサキの可愛らしい掛け合いを、さらに楽しみたい。
周吉とお琴の恋は、結婚は、いったいどうなるのか、気になる。
蜘蛛ノ介や佐平次やしげ女といったキャラ達を、もっと知りたい。


そして、周吉がオサキモチであることを、誰かが知る日はくるのかどうか。そのとき、周吉は、オサキは、どうするのか。


周吉の祖父とクロのオサキはどこかにいるのか。


続きを読んでみたいと思わせる要素は、あちこちにちりばめられているのです。


近い内に、2作目も買ってこようと思います!


ところで、周吉とオサキを想像したときに、『夏目友人帳』の夏目とニャンコ先生を連想していたので、大森望さんの解説に『夏目友人帳』の紹介があったのが、すごく嬉しかったです(笑)


読んだ日:2011/01/12


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