2011年2月 その他の読んだ本

レビュー(?)を書けなかった、今月読んだ本。


クドリャフカの順番米澤穂信

クドリャフカの順番 (角川文庫)

クドリャフカの順番 (角川文庫)

古典部シリーズ第三弾!ようやく文化祭が始まるわけですが、いやもう、めちゃくちゃ面白かったです。古典部は文集「氷菓」の発注ミスをどう解決するのか。そして「十文字」事件の真相は?ふたつの謎解き(「氷菓」に関しては、謎解きではないかもしれませんが、こう呼びます)に読み応えがあって面白いのはもちろん、今回は“文化祭”という熱っぽい空気が伝わってきて、読んでいてしあわせでした。今までの2作品を踏まえ、このタイミングで、奉太郎だけでなく古典部4人の視点から物語を楽しめたのもよかったです。「十文字」事件が本格的に物語に絡み始める以前も“文化祭”の雰囲気にひたすらわくわくできるし、古典部4人の心情も丁寧に読めて嬉しいし、サブキャラの再登場にも心躍るし……。ひとつの青春小説として、とても濃密。「十文字」事件に関しても、ちょっと切なさを感じる高校生の人間ドラマに繋がって、わたしはとても満足。ですが、謎解きの度合いは薄いかも?全体の印象として、ミステリ<青春、の配分に感じました。

読んだ日:2011/2/1


『おしゃべりな五線』 香谷美季

おしゃべりな五線譜 (teens’ best selections) (teens’best selections)

おしゃべりな五線譜 (teens’ best selections) (teens’best selections)

片山若子さんのカバーイラストに惹かれて。

読んだ日:2011/2/1


遠まわりする雛米澤穂信

遠まわりする雛 (角川文庫)

遠まわりする雛 (角川文庫)

古典部シリーズ第四弾は、奉太郎たちの高校一年生の一年間を振り返る短編集。読み終えて、いや、読みながらすでに、叫び声をあげたいほどによかったです。叫ぶ言葉は、「古典部最高!!」とでもしておきます。
謎解きとして特に面白かったのは、『心あたりのある者は』かな。校内放送をもとに、奉太郎と千反田が会話をするだけで謎が解かれていくさまが実に鮮やか。
そして、1年間を通して描かれた4人それぞれの気持ちに、ドキドキです!
里志と摩耶花の気持ちも、その曖昧な関係に至る理由も、ようやくはっきり描かれる『手作りチョコレート事件』。
『正体見たり』では古典部が夏合宿を行い、『あきましておめでとう』では奉太郎と千反田が正月早々二人きりで閉じ込められるはめになる。全体的にイベントムードが高いです。
そして、表題作『遠まわりする雛』のラスト、期待以上の展開にキュンキュン!!
まるで少女漫画を読んでいるような喜びに浸れる一冊でした。

読んだ日:2011/2/1


『さよならのプレゼント』 佐野久子

さよならのプレゼント (ホップステップキッズ!)

さよならのプレゼント (ホップステップキッズ!)

片山若子さんのカバーイラストに惹かれて。

読んだ日:2011/2/3


『ごたごた気流』 星新一

ごたごた気流 (角川文庫)

ごたごた気流 (角川文庫)

どのはなしも面白かった!好きな短編ばかりでした。スパイスの効き方が強めのものが多かった気がします。

読んだ日:2011/2/5


『密室から黒猫を取り出す方法 名探偵音野順の事件簿』

音野の生い立ちが垣間見えたり、新しい名探偵(?)が登場したり、シリーズものとしての面白さが増していきます!音野と白瀬、それに岩飛警部らの掛け合いも、相変わらず可愛らしいです。
今回は特に『停電から夜明けまで』が面白かった。恐るべし、安楽椅子探偵(今回は現場に居合わせてますが……)音野要。きょどきょどする音野順がいつにも増して笑えました。ほんとにキュート!
『音楽は凶器じゃない』で音野がピアノを弾くシーンにはなんだかうっとり。彼がどういう人生を歩んできたのか、気になります。
現実可能なのか疑問であるトリックも含めて一遍一遍楽しめるミステリですが、“音野の生い立ちの謎”は、シリーズものの面白みとしてこれからもストーリーを支えてくれるんじゃないかな?期待しています。
あ、“名探偵界隈”も気になる……!琴宮以外の名探偵も、今後、登場する可能性はあるのでしょうか?

読んだ日:2011/2/6


『セイギのチカラ』 上村佑

セイギのチカラ (宝島社文庫)

セイギのチカラ (宝島社文庫)

思っていたよりグロテスクな描写があってビクビクしながら読みました。視点がころころ変わる話はあまり好みではないので、すこし読み辛かったです。でも、これは、映像化したら絶対面白い!!特に映画に向いてると思います!!勝手に配役を考えてわくわく。

読んだ日:2011/2/7


『少年検閲官』

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

舞台は日本なのに、浮かんでくる世界は見知らぬ海外のよう。ファンタジーとミステリの要素がどちらも成り立って、ふしぎな世界観を味わえました。
タイトルになっている“少年検閲官”が登場するまでが長いので、彼の活躍を待ちながら読むとじれったいかも。でも、“少年検閲官”のことはいったん気にならなくなるほどに、主人公のクリスが関わっていく首切り事件に集中力を持っていかれます。北山猛邦作品は『名探偵音野順の事件簿』シリーズしか読んでいないので、同じミステリでもこちらの緊迫した空気にドキドキでした。
登場人物がどこか可愛らしいところは、『名探偵音野順〜』とも共通している魅力のひとつ。たとえば、無駄な感情がないとされる“少年検閲官”ですが、トランクの中身をひっくり返してしまうところなど、エノからはとぼけた印象も受けます。
14歳の少年ふたり、彼らのこれからの生き方が気になります。
この作品にも続編があるのでしょうか?2010年に続編発売、という話があるようですが、2011年になった現在も発売されていないみたい。発売されたら、すぐに読みたいです。

読んだ日:2011/2/7


妖怪アパートの幽雅な日常1』 香月日輪

妖怪アパートの幽雅な日常 1 (講談社文庫)

妖怪アパートの幽雅な日常 1 (講談社文庫)

だいぶ前から気になっていたシリーズ。大人にも人気のある児童書ということですが、夢中にもなれなかったし、かといってつまらなくもない、そこそこ面白いかな、くらいの印象でした。ですが一応、2作目も購入。

読んだ日:2011/2/10


竹取物語星新一

竹取物語 (角川文庫)

竹取物語 (角川文庫)

竹取物語のストーリーはだいたい知っていましたが、改めて星新一版で読んでみて、とても面白かったです。

読んだ日:2011/2/11


『きみのためにできること』 村山由佳

きみのためにできること(集英社文庫)

きみのためにできること(集英社文庫)

10年以上前のパソコンメールのシステムはすでに古いものになってしまっているけれど、恋心は時代では変わらない!とでも言いますか、現代が舞台の恋愛小説として、2011年の今読んでもすごくすてきに感じられました。
映像化したらいいだろうなあ、と思ったら、すでに映画になっているみたい。なんと主演は柏原くん!高瀬、そんなにかっこいい人だとは思っていなかった!笑
村山由佳を読んだのは初めてでした。

読んだ日:2011/2/13


プリンセス・トヨトミ万城目学

プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ

映画公開前に読むことができてよかった!
やっぱりマキメ作品は面白いです。前半は設定を理解するためにじっくり読み込んだので時間がかかったけれど、大阪全停止のその日のエピソードは、勢いよく読み進められました。
はちゃめちゃなことをやって、最終的に見えたのは親子の愛!そして“女”の存在にも、ありのままの人間の歴史を見たような感じ。
読み応えありました。
鹿男との繋がりにニヤニヤ。地震の頻度の話題が出てだけで「おっ!」と思ったけれど、南場先生の登場、嬉しかった〜!

読んだ日:2011/2/26


『対話篇』 金城一紀

対話篇 (新潮文庫)

対話篇 (新潮文庫)

金城一紀の小説を読むのは三度目。今回も、読み始めたときから切なくて切なくて、読み終えるときには、痛みを優しい空気が包んでいる……ような感じ。
『映画篇』でも思ったけれど、この人の書く連作の繋がり方は好きです。“書きすぎない”ところがいい。

読んだ日:2011/2/26


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